2024年1Q日本製鉄の業績を見て、将来性を考えてみました。
あくまで個人的見解です。
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1Q財務諸表分析(比例縮尺図)
日本製鉄の23年と24年の第一四半期の財務諸表を比例縮尺図を作成し、比較してみました。
比較してみると「売上」が伸びているのに「当期利益」が下がっているのが気になります。
「売上」自体は増えているのもポイントですね。
日本は人口が減少していくのが確実ですから、日本製鉄の戦略はどのように考えているのでしょうか?
日本製鉄の将来ビジョン
日本製鉄はグローバル粗鋼生産能力を1億t/年間を長期目標に掲げています。
具体的には国内の生産能力を減らし、代わりに成長が確実視されるインドで生産を増やす戦略です。
日本製鉄の国内戦略にみる将来性
高炉の統廃合と高級鋼製造
日本は人口がこれから減っていきます。
ですので日本製鉄の国内戦略は、高炉を減らしていく事と高級鋼の生産を増やしていく事です。
私はとても理に適った戦略だと思います。
高炉を減らす事に関しては、鹿島の高炉を近い将来休止するとコメントがすでに出ています。
また、高級材を作る技術に関して、日本の技術は世界的に見てもトップクラスです。
高級材はアメリカやASEANで市場が大きく、需要があります。
この辺の戦略に関しては、私は理に適った事を粛々と進めていると判断しています。
年数 | 国内生産の粗鉄生産能力 |
2022年 | 4,700万t |
2025年(予定) | 4,400万t |
日本製鉄は数年かけて高炉の統廃合を進めました。
15基ある高炉を2025年までに10基まで減らす計画です。
大改革です。
高炉が減ったおかげで、鉄鋼の在庫のだぶつきが減りました。
鋼材価格の値上げ
更に、日本製鉄はトヨタと価格に関して、値段交渉をするようになりました。
俗に言うチャンピオン交渉ってヤツです。
結果として、日本製鉄がトヨタに希望単価を飲ませました。
37年振りの出来事です。
日本製鉄は自動車業界から「値決め権」を奪還したという事です。
希望単価を飲ませるためには、過剰設備となっている高炉の統廃合を含め社内改革を進めなければいけませんでした。
在庫がたぶついていたが故に、トヨタに安い値段で買い叩かれていたとそうです。
日本製鉄の希望単価を飲めなければ、交渉決裂も辞さないという姿勢でトヨタと話をつけたらしく、
交渉はかなり紛糾したと言われています。
トヨタに価格交渉を迫る姿勢に、私はドラマを感じて痺れました。
こちらの記事が詳しいです。
価格交渉は従来なら営業部門の仕事でしたが、橋本社長は社長直轄マターとしてトヨタと交渉しました。
リーダーが最前線で指揮を取り、決断していくというのは現場の士気が上がるものです。
「高炉の廃止」「価格交渉」と実現した橋本社長はカリスマ性があると私は思っています。
特許侵害でトヨタと宝山を訴える
さらにトヨタと宝山を特許侵害で訴えています。
電磁鋼板に関して、トヨタと宝山は特許侵害にあたるとして200億ずつ両社に訴訟を起こしています。
トヨタが宝山に技術の漏洩をしていた可能性が指摘されています。
実際にどうなのかは事の推移を見守らなければ分かりませんが、日本製鉄の弁護団は日本一とも言われており、
日本製鉄が有利であるという声も多いです。
日本製鉄のインド戦略にみる将来性
2023年にインドの人口が中国を抜くと見られている事は知っていましたか?
インドは人口構成が若く、発展が期待されています。
世界の鋼材使用量(2021) | ||
1位 | 中国 | 9億5,200万t |
2位 | インド | 1億610万t |
日本 | 5,750万t |
2019年、人口が増えていくインドに日本製鉄は欧州アルセロールミタンと共同でインド5位の鉄鋼メーカーを買収し合弁会社を作りました。
日本製鉄は4割の出資。
高炉2基を含む各種生産設備の増強を行いました。
日経新聞の記事です↓
日本製鉄、インドに1兆円の投資。
日本製鉄の不安点
では日本製鉄の将来における不安点はどうでしょうか?
こらは日本製鉄の最大の懸念点は、脱炭素ができるかどうかでしょう。
2020年にパリ議定書 菅義偉元首相が世界に向けて日本も2050までにカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。
炭素税
出典:国立研究開発法人国立環境研究所「日本の温室効果ガス排出量データ(2016)
画像で示す通り、鉄鋼業界のCo2比率は高いです。
その割合はなんと14%になります。
すでに世界には2050年にはカーボンニュートラルを目指すと菅義偉元首相が宣言していますから、待ったなしです。
で、実際にはメドがたっていないと言われています。
Co2排出の割合で炭素税が導入されるという話もありますから、脱炭素は最優先事項でしょう。
鉄鋼業界が二酸化炭素を減らすと言うことはつまり、従来の高炉で製鉄をすると二酸化炭素の排出が避けられないので、別の方法を考えなければならないという事です。
そこで、脱炭素の切り札として水素で鉄を作る「水素還元製鉄」で製鉄を行うと試みられています。
水素還元製鉄の可能性
2023年8月日本製鉄は高炉本体からCo2を22%削減に成功したと発表しました。
こういうニュースをみると日本は単純にすごいなと思いますね(語彙力…)
実際、鉄鋼業界の成長はカーボンニュートラルを実行できるかどうかにかかっているといっても過言ではなきでしょうね。ここにリスクがあります。
日本製鉄は17年に1度株価が暴騰している!?
日本製鉄がそろそろ暴騰しそうだと株界隈で主張する方々がいらっしゃいます。
株というのは不思議なもので過去にあった値動きを繰り返す習性があったりします。
アノマリーって言います。
ただこの理論はロジカルではないのが問題で、理屈で説明ができないのです。
分かっていれば誰でもお金持ちになれるわけですから、私も含め「へー、そんな話もあるんだね」
くらいのスタンスで聞いていて良いと思います。
株クラ界の有名インフルエンサーであるエミン・ユルマズさんも日本製鉄が暴騰すると書籍で述べています。
ちなみに私は財務諸表に目を通して、日経新聞やビジネス書籍も読んではいますが、
最終的にはチャートを見て株の売買をしています。
私は「うねり取り入門」という書籍を読んで勉強しました。
いずれにせよ、2023年の日本はインフレ中で、物の値段が上がっています。
ガソリンも高くなりました。
食品の値段も上がっています。
月の収入が仮に20万で、食費が4万だったものが6万に増えたのなら単純に収入が減った事と同じです。
貯金をしているだけだとお金が減っているわけです。
金融資産の勉強をするのは将来への投資だと思います。
新しい事はすぐに習得できませんから。
時間をかけて学んでいくのが吉です。
行動しながら学んでいくのが良いのではないでしょうか?
まとめ
株の売買はあくまで自己責任です。
株の記事は私にとって備忘録的な意味合いがあります。
その為、主観的であったり、内容が間違えていたり、客観性に欠けている部分もあるかもしれません。
今回の記事で日本製鉄にご興味を持たれた方がいればご自身で調べられる事をオススメします。