四股は昔からある日本のトレーニングです。
お相撲の力士が肉体鍛錬として毎日四股を踏んでいます。
現代のアスリートでも四股をトレーニングに組み込んでいる方々を目にする事もあり、興味がありました。
今回、紹介する記事は元力士が四股について研究した書籍のレヴューです。
四股を踏む事でどのような効果があるのでしょうか?
Contents
四股は格闘技に役立つのか?
私が四股について興味があるのは、格闘技における肉体鍛錬として有効かどうか知りたかったんです。
私が知り合ったプロ格闘家は、小さい頃にワンパク相撲で四股を毎日踏まされていたと言う人達が一定数いました。
しかもワンパク相撲をしていた方々は皆さんプロ格闘家の中でも強い人ばかりでした。
中には小学生の時のスポーツテストで日本一だった方もいました。
例えば、朝倉未来さんや朝倉海さんも小さい頃に相撲をしていたと記事で読んだ事もあります。
つまり、四股は粘り強い足腰を作るのに効果的なのではないかと思っていましたが、いくつか疑問があります。
簡単に言えば、ウエイトトレーニングでスクワットした方が良いのではないかと言う疑問です。
四股に対する疑問
毎日四股を踏むより、週に2回下半身のウエイトトレーニングした方が効果があるのではないかと思う理由は以下の通り。
四股は有酸素運動に近いのではないか?
四股を500回とか1000回など、高回数踏んでいると有酸素運動に近いのではないかという疑問。
四股は筋肥大しないのではないか?
筋肥大させるには高重力で低回数と言われているが、果たしてどうなんだろという疑問。
これらの疑問に対して、この書籍は真剣に回答してくれています。
四股は優秀なトレーニング
実際に作者が元力士なので、武道研究家が書いた書籍ではない事も良いです。
フィジカルコンタクトがある格闘技をするとテクニックも力の現実の前ではなんともならないからです。
その辺が分かっている作者がそれでも四股をトレーニングとして勧める理由が書かれています。
著者は松田哲博さん,元力士(一の矢)
1960年生まれ
琉球大学理学部物理学科卒業
初の国立大学出身力士となる
24年間の現役生活後に2007年引退
頭の中で考えただけの武道研究家とは違く、現役で相撲を行っていた方だけに書籍には信ぴょう性がありますね。
物理学科を出ている理系の方というのも研究が信じられます。
全身を均一にする/深層外旋六筋
人間は昔は四足歩行だったが、二足歩行になるにつれて使われなくなった筋肉があります。
例えば、深層外旋六筋がそうです。
深層外旋六筋とは
二足歩行になるにつれ使われなくなった腰回りの六つの筋肉群の事。
↓
股関節を外旋する為の筋肉群。
四股は、このような股関節周りの筋肉を鍛える事ができます。
またダイナミックに全身を使用する事で、全身を均一にする連動した動きが身につきます。
この辺の概念はロシアン体力養成法というロシアの体力トレーニングの話にとても似ています。
ウエイトトレーニングのように部位ごとに鍛えるという考え方と違い、全身の連動を鍛える事なのでしょう。
テンセグリティという概念
この全身の連動をテンセグリティという建造物で説明しています。
動画を見てもらうのが1番伝わりやすいと思いますが、ご覧の通り張力材のみで、
複雑な構造の建造物がバランスを保ち成り立っています。
人間もテンセグリティ構造のように成り立っているという訳です。
ウエイトトレーニングのように胸はベンチプレス、足はスクワットという鍛え方ではなく、
四股は全身を連動して全身を鍛えることを目的とした鍛錬法だと述べられています。
相撲は腰で取れ!
昔は相撲力と言って、数値では測れない組む力が相撲をしている人なら共有できる話だそうです。
これはブラジリアン柔術をしている私は理解できます。
たしかにウエイトなどはそれほど重量を上げれないのに、組む力がめっぽう強い人はいます。
むしろ日頃鍛えている方が力負けしているシーンは何度も目にしたし、体感してきました。
相撲の世界では相撲力はウエイトより四股の方が身につくと長らく言われています。
なぜなのでしょう?
名横綱と言われた双葉山は、「腕力はないほうだったが、相撲を取ると強かった。なにより腰が
強かった」と言われています。
法隆寺に代表される五重塔の塔は、地震に強く、地震を吸収するような耐震構造になっています。
古代のものほど優秀だそうです。
古代人の知恵を感じます。
四股も体全体を、五重塔のように腰を要にして強化する古代人の知恵です。
なぜなら厳密には四股がどこに効いているのか、分からないそうです。
どうして四股を踏むと相撲が強くなるのか分からないが、強くなるのは確かと相撲界では言われます。
書籍ではなぜ四股が優秀なのか推測しています。
四股は身体のメカニズムを変える
四股は心技体の心を鍛えると言うスピリチュアルな話。
それだけ四股は科学で解明できないんでしょうね。
相撲は技術練習が存在しないのと四股の話
相撲は技術練習は存在せず、四股、てっぽう、すり足の基本運動を繰り返した後は、実践式の稽古を
とるだけなのだそうです。
意外ですね。
四股を繰り返し何度も行うことで、相撲ができる身体を作るわけです。
名横綱の大鵬は現役時代は、四股500回、てっぽう2000回がノルマだったと語られています。
白鳳も長時間四股を踏んでいたと記事になっています。
遅筋が疲れてしまうと、速筋もその後に鍛えられるので長時間四股を踏むと筋肥大もするかもしれないと
記事では述べられています。
合気道の達人(佐川幸義)と肥後式剛健術の四股
昔から日本の武道では四股は取り入れられていた身体鍛錬法です。
合気道の達人だったと佐川幸義さんは毎日1000回の四股を踏んでいたとされていますが、今の四股と
だいぶ形が違っていて、ヤジロベーのように片足ずつ体を傾けるやり方だったそうです。
著者はインナーマッスルを鍛えて、腰の意識を強化していたのではないかと検証していました。
筋肉の奥にある何かを鍛えていると述べられています。
一方、肥後式剛健術と言われる昔の身体強化法で行われていた四股は、股関節のすきまを広げる効果
があると検証されていて、四股にも色んな種類があるのが分かります。
このあたりのエピソードは書籍の内容の一部です。
西洋式の鍛錬法ではない、日本人に適していた鍛錬法として四股を研究したこの本は
とても面白い一冊です。
幼少期に相撲をしていた格闘家が多い!?
子どもの頃に相撲をしていたと発言している格闘家は何人か知っています。
以下は相撲をしていた有名格闘家たちです。
朝倉未来,朝倉海
格闘界のスターである朝倉兄弟も幼少期に相撲をしていたと言っています。
朝倉海さんが子供の頃に相撲している動画を見つけました。
すでにこの頃から運動神経がイイのが伺える動画です。
大きい相手にスピードで対抗しています。
わんぱく相撲は格闘技に向いているでしょうね。
この映像みているとそう思います。
魔裟斗
魔裟斗さんも子供の頃にわんぱく相撲をしていたと雑誌のインタビューで述べています。
ゴン格のインタビュー。
けっこう相撲経験者はいますが、ネットではあまりソースが残っていませんね。
中村倫也
UFCで活躍が期待されている中村倫也選手も四股を踏んでいるとTwitterで述べています。
それにしてもすごい足だ...。
まとめ
古来から日本で伝承されていた四股は、現代では女性のダイエットなどで目にするだけでもったいないと思っていました。
むしろ格闘技をしている人たちに取り入れてみたら効果がある鍛錬法なのではないかと思います。